漆喰という素材 2
わたしは自宅を外壁リフォームして以来、すっかり壁というもののとりこになってしまいました。
奈良時代に白土または消石灰に混入された糊料は米粥が主で、海藻の使用は早くても桃山時代の近世城郭建設時を遡りません。
・・・この点、電子顕微鏡による捜査結果と真向から矛盾します。
ここで想起されるのは大正9年に刊行された『法隆寺金堂壁画保存方法調査委員会報告書』で、そこでは壁土への「鹿角菜」(ふのり)の混入が記載されています。
ところが同寺昭和大修理の報告では、この点について全く触れていないところを見れば、ここでは海藻糊液の使用は確認されなかったのでしょう。
・・・思うに、大正報告書では分析の方法等その根拠を示していないので、調査者は現行の左官工法の知見で往時の技術を類推し、さきの記載となったものでしょう。
今回の顕微鏡捜査も、それと同じ誤りを犯していなければ幸いです。
もっともその報告はあくまで海藻胞子状物質「らしいもの」であって断定は下しておらず、なお他の物質である可能性も残しています。
もしこれを明確にしようと思えば、化学的に定性するより方法はないでしょう。